そんなの当たり前じゃん!

なかなか言えそうで言えない表現だ。

まず思い付くのは、

It’s obvious!

日本語のニュアンス的には、「明らかにそうだ!」となる。

しかしながら、これでは親しいあいだ柄で相手をたしなめるような語感があまり感じられない。

もう少しくだけた表現なら、

It’s no wonder!

とか、

It’s no surprise!

とかになるが、直訳すると「驚くほどのことじゃないよ」となり、「あったりまえじゃん!」から来る親近感が薄い。

That goes without saying!

とかであれば、結構イメージ的に近い。

そこで多くのアメリカ人に聞いてみた。私が気に入ったのは次の表現だ。

That’s a big fat duh!

まさに、「そんなん、あったりまえじゃん!」となる。

これにて一件落着!

そんなこと言われても困る。

これを英語に訳せと言われると、多くの日本人は次のように訳す。

I’ll be in trouble when you ask me that.

しかしながら、これではアメリカ人の頭の中では文脈が混乱する。

もう少しまともに訳すなら、whenをifに変えて、

I’ll be in trouble if you ask me that.

とする。一応意味は通じるが、なんか変な英語ではある。これを日本語に直訳すると次のようなニュアンスだ。

そんなこと言われたら、私は面倒に巻き込まれる。

ではどうしたらよいか。いろいろと意訳を考えてみると、次のような訳が思い付く。

I don’t know what to say when you ask me that.
そんなこと言われても何て言っていいかわからない。

I don’t know how to answer when you ask me that.
そんなこと言われても何て答えていいかわからない。

しかしながら、これも原文に比べるといささか冗長ではある。

そこで多くのアメリカ人に聞いてみた。私は個人的に次の訳が気に入った。

I get confused when you ask me that.

そんなこと言われても困る。

これにて一件落着。

まさか彼に話したわけじゃないよね?

これを英語に訳す際、まず引っ掛かるのが「まさか」をどう訳すかだ。

「彼には話してないよね?」だけなら簡単だ。次のように訳す。

You didn’t tell him about that, did you?

ここに「まさか」のニュアンスが追加となると、驚きと疑いの感情を加えなければならない。

おおかたの日本人は次のように訳す。

You don’t mean (that) you told him about that, do you?

これは日本語に直訳すると次のようになる。

彼に話したわけじゃないよね?

これでも通じなくはないが、疑いの眼差しがいまいち弱い。

ではどう表現したらよいのかを多くのアメリカ人に聞いてみた。答えはこうだ。

You’re not telling me that you told him about that, are you?

日本語に直訳すると、次のようになる。

彼に話したなんて私に言ってるわけじゃないよね?

日本語にすると多少おかしな表現にはなるが、英語ではこれで完璧となる。

まさか彼に話したわけじゃないよね?

これにて一件落着。

せっかくだから刺身も食べていこう。

こんどの「せっかく」は、「せっかく~したのに」というネガティブな悔しさの表現ではない。「せっかく」のもう一つの意味である「せっかく~したのだから」というポジティブな意味合いだ。

和食レストラン等に来て、「せっかくだから刺身も食べていこう」といったような会話だ。

「刺身も食べていこう」というフレーズだけなら簡単だ。次のような表現となる。

Let’s have sashimi as well.

ここに、「せっかく来たのだから」というようなニュアンスを滲ませたい。

普通は次のように訳す。

We came all the way here, so let’s have sashimi as well.

日本語にするとこうだ。

ここまで遥々来たのだから、刺身も食べよう。

これでも通じなくはないが、「せっかくだから」という日本語のニュアンスにいまいち欠ける。

そこで、多くのアメリカ人に聞いてみた。答えはこうだ。

Let’s make the most of it and have sashimi as well.

日本語に直訳すると、次のようになる。

このチャンスを最大限に活かすため、刺身も食べよう。

つまり、「せっかくだから刺身も食べていこう」というニュアンスになる。

なお、英語には残念ながら「食べよう」と「食べていこう」の違いはない。

これにて一件落着。

せっかく作ったのに食べてくれないのね?

これを英語に訳そうとすると、まずつまずくのは「せっかく」という表現だ。

「せっかく」が無ければ簡単だ。普通は次のように訳す。

Although I made it for you, you’re not going to eat it, are you?

しかし、これだけでは次のようなニュアンスで終わってしまう。

これあなたのために作ったのに、食べてくれないのね?

これでもりっぱに通じることは通じるが、「せっかく」という悔しさがいまいち薄い。

そこで、その悔しさを十二分ににじませるにはどうしたら良いものかと多くのアメリカ人に聞いてみた。

彼らの答えは決まってこうだ。下記のように「苦労して作ってあげたにも関わらず」という表現を挟むというのだ。

I went through all the trouble to make it for you, but you’re not going to eat it, are you?

これで日本語の「せっかく」という悔しさが相手に充分に伝わる。

これにて一件落着。