まさか彼に話したわけじゃないよね?

これを英語に訳す際、まず引っ掛かるのが「まさか」をどう訳すかだ。

「彼には話してないよね?」だけなら簡単だ。次のように訳す。

You didn’t tell him about that, did you?

ここに「まさか」のニュアンスが追加となると、驚きと疑いの感情を加えなければならない。

おおかたの日本人は次のように訳す。

You don’t mean (that) you told him about that, do you?

これは日本語に直訳すると次のようになる。

彼に話したわけじゃないよね?

これでも通じなくはないが、疑いの眼差しがいまいち弱い。

ではどう表現したらよいのかを多くのアメリカ人に聞いてみた。答えはこうだ。

You’re not telling me that you told him about that, are you?

日本語に直訳すると、次のようになる。

彼に話したなんて私に言ってるわけじゃないよね?

日本語にすると多少おかしな表現にはなるが、英語ではこれで完璧となる。

まさか彼に話したわけじゃないよね?

これにて一件落着。

せっかくだから刺身も食べていこう。

こんどの「せっかく」は、「せっかく~したのに」というネガティブな悔しさの表現ではない。「せっかく」のもう一つの意味である「せっかく~したのだから」というポジティブな意味合いだ。

和食レストラン等に来て、「せっかくだから刺身も食べていこう」といったような会話だ。

「刺身も食べていこう」というフレーズだけなら簡単だ。次のような表現となる。

Let’s have sashimi as well.

ここに、「せっかく来たのだから」というようなニュアンスを滲ませたい。

普通は次のように訳す。

We came all the way here, so let’s have sashimi as well.

日本語にするとこうだ。

ここまで遥々来たのだから、刺身も食べよう。

これでも通じなくはないが、「せっかくだから」という日本語のニュアンスにいまいち欠ける。

そこで、多くのアメリカ人に聞いてみた。答えはこうだ。

Let’s make the most of it and have sashimi as well.

日本語に直訳すると、次のようになる。

このチャンスを最大限に活かすため、刺身も食べよう。

つまり、「せっかくだから刺身も食べていこう」というニュアンスになる。

なお、英語には残念ながら「食べよう」と「食べていこう」の違いはない。

これにて一件落着。