もう自転車に乗れるようになった?

まずは英語に直訳してみる。すると、次のようになる。

✖ Did you become able to ride a bike yet?

これで良いかとアメリカ人に聞くと、「意味は通じるけど変な英語!」という回答が返ってくる。

じゃあ、何て言ったらいい?と聞くと、これでどう?という答えが返ってくる。

〇 Have you learned how to ride a bike yet?

日本語にすると、「もう自転車の乗り方を覚えた?」である。

ところが、実際に彼らが日常的に使っている表現はとなると、次のようなフレーズだ。

◎ Can you ride a bike yet?

日本語に直訳すると、単に「もう自転車に乗れる?」なのである。

つまり、英語には「~できるようになる」という言い回しは不要なのだ。

これにて一件落着!

トムクルーズって知ってる?

これを英語にせよと言われると、ほとんどの日本人は次のように表現する。

✖ Do you know Tom Cruise?

実は、この英語は日本語に逆翻訳すると、こうなるのだ。

✖ トム・クルーズはあなたの知り合い?

だから、ほとんどのアメリカ人は、「トム・クルーズは知ってるけど、私の知り合いではない」と答えてくるので、これを聞いた日本人はとんちんかんなやり取りに首をかしげることになる。

ただし、日本で長く生活しているアメリカ人は日本人のおかしな英語を理解しているので、「Yes, I do.(うん、知ってるよ)」と普通に答えてくれる人もいる。

では、本来の意味での「トム・クルーズって知ってる?」ってどう表現するのだろうか?

多くのアメリカ人に聞いてみた。

答えはこうだ。

〇 Do you know who Tom Cruise is?

日本語に直訳すると、つまり、「トム・クルーズって誰だか知ってる?」となるわけだ。

映画俳優のトム・クルーズを知らない人はまずいないだろうから、大抵の人は「Yes, I do. He’s a famous actor.」と答えてくれる。

この、「Do you know who ~?」という表現は意外と重要である。

これにて一件落着!

それは大変ですね。

日本人の会話では、「それは大変ですね」といったような、軽い相槌を打つケースをよく見掛ける。

そんなときに、

✖ That’s a problem.

とか言ってしまうと、とんちんかんな受け答えになってしまう。

△ That’s awful.

なら、まだましであるが、「それはひどいですね」といったきつい感じで、相手の苦労をねぎらう意味合いからは少々はずれる。

一歩進んで、

△ That’s tough.

なら、ニュアンスが近づいてくるが、「tough」と決めつけているところが相手にプレッシャーを与えそうだ。

そこで多くのアメリカ人に聞いてみた。

上記の2つを和らげるような感じで、次の2つの表現に出会った。

〇 That must be awful.
◎ That sounds tough.

控えめな表現ではあるが、これでまさに「それは大変ですね」といったニュアンスになる。

これにて一件落着!

適当にやればいいよ。

日本語の「適当に」には、本来2つの意味があり、1つは「適切に」という意味であり、もう1つは「気を抜いて」という意味だ。

しかしながら、昨今の日本語では「気を抜いて」という意味で使用されるケースのほうが多いので、ここでもその意味合いで英語訳を見ていきたい。

翻訳アプリ等を用いてこれを訳してみると、次のような訳が出てくることがある。

✖ You can do it suitably.
✖ You can do it properly.

直訳すると、「適切にやればいいよ」とか「君ならちゃんとできるよ」といったような意味になってしまい、とんちんかんな訳で終わってしまう。

ではということで、もう少しひねりを利かしてみると、次のようになる。

△ You don’t have to take it too seriously.
△ Don’t be too serious about it.

これらはいずれも、「あまり真剣に考えることないよ」といったようなニュアンスであり、何かを依頼するときに用いる「適当にやればいいよ」とは少々意味合いが異なる。

では、ということで多くのアメリカ人に聞いてみた。

答えはこうだ。

〇 You can go easy with it.

まさに、「適当にやればいいよ」である。

これにて一件落着。

買わなきゃ損だよ!

日本語には「~したほうが得だよ」とか、「~しなきゃ損だよ」という表現がよく用いられる。

がしかし、いざこれらを英語に訳そうと思うと、ちょっと骨が折れる。

「買わなきゃ損だよ!」は直訳すると、

✖ If you don’t buy it, you’ll lose money!
✖ If you don’t buy it, you’ll make a loss.

とかの表現になるが、これらはいずれもおかしい。

買わなきゃ損失だよ!とは言え、お金を失うわけではない。

それでは、ということで、次のように置き換えてみた。

△ If you don’t buy it, it’ll cause you a loss!

と言ってはみたものの、これもまた買わなかったからといって別に損を被るわけでもない。

そこで大勢のアメリカ人に聞いてきた。

こういう時は、「買わなきゃチャンスを逃すよ!」と訳せばよいことが分かった。

つまり、

〇 If you don’t buy it, you’ll miss out!

である。

これにて一件落着!

笑ってる場合じゃない!

相手をたしなめて言うときの表現だ。我々日本人がすぐに思い付きそうな表現は次のような文章だ。

✖ This is not the time when you’re laughing!

✖ This is not the time when you laugh!

✖ This is not the time when you can laugh!

これらはいずれも通じることは通じるが、ネイティブにとってはおかしな響きとなる。たいていのアメリカ人は次のように修正すれば良いという。

△ This is not the time to laugh!

△ This is not the time to be laughing!

△ This is no time to laugh!

△ This is no time to be laughing!

しかしながら、これらは日本語に直訳すると、「今は笑っている時ではない」くらいのニュアンスであり、「~している場合じゃない!」というきついニュアンスに欠ける。

そこで、さらに多くのアメリカ人に聞いてみた。結論はこうなった。

This is no time for laughing!

直訳すると「今は笑うための時間じゃない!」であるが、これがまさに「笑ってる場合じゃない!」というぴったりのニュアンスになる。

これにて一件落着!

さすが、彼だけあるね。

これを英語に訳すのには、そうとう骨が折れる。

適当に言うならば、

He’s great!

あるいは、

He’s amazing!

となる。ただ、これらは単に「彼ってすごい!」と言っているだけなので、「さすが~」のニュアンスはない。

ここで難しいのは、「さすが」のニュアンスをどう置き換えて表現するかである。

まずは、日本語で置き換えるならば、「そんなことができるのは彼だからこそだ」とする。

英語にすると、

It’s just like him to do so!

となる。

これをもっと縮めて、

That’s just like him!

とすれば、さらに口語らしくなる。

アメリカ人に尋ねてみると、次のような表現もよく使われるとのことであった。

That’s him for you!

えっ、こんなので?という感じではあるが、通用するのである。

これにて一件落着!