今日は日曜日だから、いつものニュースはやってない。

日本のテレビのニュース番組はたいてい、平日のみの放送が多い。そこで、表題の表現の登場となる。

まずは直訳してみる。

✖️ It’s Sunday today, so the usual news show is not doing on TV.

「やってない」の部分をそのまま英語にすると、「is not doing」となるが、当然この直訳は通じない。

通常、英語では「テレビで~をやっている」という場合に、「there is ~ on TV」という表現が良く使われるので、ここでもそれを適用してみると、次のようになる。

△ It’s Sunday today, so there’s not the usual news show on TV.

ところが、この言い方はどうもアメリカ人にはしっくり来ないようなのだ。「意味は通じるけど、なんか変な英語」となる。

じゃあ、どうしたらいいのと聞くと、次のような表現がいいよと教えてくれる。

◯ It’s Sunday today, so the usual news show isn’t showing on TV.

「show on」で、つまり自動詞の「現れる」となるわけだ。直訳すると、「いつものニュース番組は現れていない」となる。

しかしながら、筆者はもっと簡潔で日常的な表現があるはずだと、いつものごとく追及してみると。。。

あった、あった。普段、彼らは次のように言っているのだ。

◎ It’s Sunday today, so the usual news show isn’t on TV.

直訳すると、「いつものニュース番組はテレビ上にない」となる。

これにて一件落着!

そんなこと聞かなければよかった。

まずは直訳してみる。

✖️ It was good if I didn’t ask such a thing.

はじめに気が付くのが、「such a thing」は正に学校英語であること。 アメリカ人はこんなところで仰々しく「such a thing」なんて言わない。「that」で充分である。

✖️ It was good if I didn’t ask that.

これは仮定法過去にもなっていないので、アメリカ人に聞くとやはり、「意味は通じるけど、おかしな英語だね」ということになる。

ではこれを正しく仮定法過去にしてみよう。

△ It would be good if I didn’t ask that.

かなり良くなったようだ。しかしながら、これは日本語にすると、「聞かないほうがいいかもね」という現在の状態を表しているので、原文の意味合いとは少し異なる。

過去の悔やみを表すのであれば、次のように仮定法過去完了にする必要がある。

◯ It would have been good if I hadn’t asked that.

これでいいかとアメリカ人に聞くと、「うん、それでいい、それでいい」とは言われるのであるが、筆者はこれでは納得がいかない。

そこで、例によってアメリカ人にしつこく尋ねてみると、誰もが日常的に使用している表現がわかった。

◎ I wish I hadn’t asked that.

直訳すると、「それを聞かなかったことを今望んでいる」といった感じだ。実は、これは典型的な受験英語でもある。

今回も受験英語が結構、役に立った。

これにて一件落着!

忘れ物ない?

家を出るときや、どこかを立ち去るときの決まり文句である。決まり文句というのは、得てして英訳するのが難しいことがある。

まずは直訳してみる。

✖️ Isn’t there anything you forgot?

文字通りの訳なのであるが、実はこれは「何か忘れているものがあるんじゃないの?」と、念を押しているニュアンスになってしまう。

こういう場合の常套手段は、否定疑問文ではなく、肯定疑問文に置き換えてみることだ。

△ Is there anything you forgot?

ところがこれだと、「何か忘れているものはある?」といったような感じで、意味は通じるが日常的な表現ではない。

ではどのように表現したらいいのだろうかと、多くのアメリカ人に聞いてみた。

次のような表現ではどう?という答えが返ってきた。

◯ Have you forgotten anything?

つまり、Youを主語に持ってくるわけだ。

ところが、これでは「何か忘れてない?」といった感じのニュアンスであり、筆者はまだ納得できない。

そこで、原文の直訳ではなく、普段アメリカ人が日常的に使う表現はないかと、しつこく聞いてみた。

返ってきた答えはこうだ。

◎ Have you got everything?

直訳すると、「全部持った?」となる。つまり、これが日本語で言うところの、「忘れ物ない?」なのである。

これにて一件落着!

どこの国で生まれたかった?

この文章の英訳は、簡単そうで、実は結構、難しい。

「どこの国で生まれたかった?」という日本語の裏には、「どこの国で生まれたかったと、今になってそう思う?」という言外の意(Connotation)が含まれているからだ。

従って、元の文章をまず直訳してみると次のようになる。

✖️ Which country do you want to have been born in?

つまり、「生まれる」の部分を過去形にし、「思う」の部分を現在形にするわけだ。これで、「どこの国でうまれたことを、今になって欲している?」というニュアンスになるはずだ。

ところが、この文章で良いかとアメリカ人に聞いてみると、案の定、「意味は通じるが、おかしな英語だね」という答えが返ってくる。

それでは、ということで次のように変更してみる。「生まれる」の部分を現在形にし、「欲する」の部分を過去形にしてみた。

△ Which country did you want to be born in?

ところが、これではやはり、「欲する」の部分が過去形になっている関係で、「どこの国で生まれることを、過去に欲していた?」という感じになってしまうわけだ。

それではということで、更に次のように変更してみた。「生まれる」の部分と「欲する」の部分の両者を過去形にしてみるわけだ。直訳の意味合いとしては、「どこの国で生まれたことを欲した?」

◯ Which country did you want to have been born in?

これでまあまあ、原文に近いニュアンスとなってきたわけだが、実は英語にはもっと適切な表現がある。「wish」を使って、次のように表現してみる。

◎ Which country do you wish you had been born in?

直訳すると、「どこの国で生まれていたことを望む?」となる。この場合のwishは、過去の事実に反する希望を述べるものであり、これが正に英語らしい表現となるわけだ。

実は驚いたことに、この表現は受験英語にも頻出の、典型的な例文なのである。

今回だけは、受験英語に乾杯!となった。

※補足であるが、この表現は次のように表すこともできる。これは文法的に間違っていると指摘する人もいるが、日常会話では頻繁に使われているので、こちらの表現でも問題ない。

◎ Which country do you wish you were born in?

これにて一件落着!

3分測ってくれない?

カップラーメンなんかを作るときに、近くにいる人に頼むときの表現である。

まずは直訳してみる。日本人なら「測る」とか、「計る」は当たり前のように「measure」を使うと思う。そこで次のように訳してみる。

✖️ Could you measure 3 minutes for me?

これでどうかとアメリカ人に聞くと、例のごとく、「まあ、意味は通じるけど、おかしな英語だね」という答えが返ってくる。

どうして?と聞くと、「measure」は長さや大きさを測る場合にはいいけど、時間を測る場合の表現としてはおかしいと言うのだ。

じゃあ、このmeasureを何に置き換えたらいいのと聞くと、「time」がいいと言う。確かに、辞書を引くと、timeには名詞以外に動詞としての使い方も載っている。

というわけで下記のように訳してみた。

△ Could you time 3 minutes for me?

これでどうかと尋ねると、「うんまあ、それでいいね」という意見と、「なんだか、まだどこかおかしいね」という意見に分かれる。つまり、住んでいる地域や人によって見解が異なるようだ。

それではどうしたものかといろいろと調べてみると、timeの目的語に「時間」を持ってくる代わりに、「人」を持ってくるのが良さそうだということが分かった。つまりこうだ。

◯ Could you time me for 3 minutes?

直訳すると、「私を3分測ってくれない?」という感じだ。

しかしながら、これでもなんだかしっくりこない筆者は、普段は何て言うのかと、しつこくアメリカ人に尋ねてみた。

すると、大勢から返ってきた答えはこうだ。

◎ Could you set your timer for 3 minutes for me?

直訳すると、「私のために、あなたのタイマーを3分間セットしてくれない?」という感じだ。

ふた昔くらい前までなら考えられなかった表現だが、スマホが当たり前になって、だれもがタイマーをポケットに入れているような昨今では、これで成り立つわけだ。

これにて一件落着!

耳に水が入っちゃった。

まず、英語に直訳するとこうなる。

△ The water entered my ear.

これで良いかとアメリカ人に尋ねると、一応意味は通じるけどなんか変な感じ、という答えが返ってくる。

つまり「Enter」の使用がおかしいのである。Enterは「入る」は「入る」でも、「立ち入る」とか「入場する」といったようなニュアンスなので、耳に水が立ち入るのは大袈裟過ぎるわけだ。

では、このEnterをほかのどんな単語に置き換えるといいかと聞くと、「get in」がいいと言う。

つまり、こうだ。

◯ The water got in my ear.

で、ちなみにこの言い方はよく使うのかとあらためて聞くと、「あまり使わない」という。

じゃあ、普段何て言うのと聞くと、

◎ I got water in my ear.

がいいと言う。つまり、「耳に水を得た」という表現だ。

それならそれで、最初から教えてよ。

これにて一件落着!

1万円しかない。1万円もある。

これを英語に訳せというと、日本人の10人中9人までが次のように訳す。

〇 I only have 10,000 yen.
✖ I have as much money as 10,000 yen.

そう答えるのもしかたがない、この表現は学校でもそう学ぶからである。翻訳ソフトを使用しても、同じような訳文が出てくる。

ところが、この英語は正しいかとアメリカ人に聞くと、10人中10人までが、前者はそれでいいけど、後者はなんかおかしい、意味は通じるけどそんな言い方はしないと答える。

じゃ、なんて表現するの?と聞くと、単に

〇 I have 10,000 yen.

でいいと言う。

それじゃあいくら何でも、「も」という重要なニュアンスが含まれていないだろうと言うと、金額が多いか少ないかのニュアンスは文の前後関係(Context)で判定するしかないと答える。

それでは納得がいかないから、何かいい言い方はないの?としつこく食い下がると、次の表現ではどうだと言う。

◎ I have 10,000 yen, more than enough.

直訳すると、「私は1万円持っている、これで十分すぎる」という感じだ。

受験勉強で、「as much as」を一生懸命覚えた諸君には申し訳ないが、このような日常会話では場違いな表現になるのだ。

※学校の英語の先生が落ち込むといけないから、この話はここだけにしておいてほしい。

これにて一件落着!

車は動きさえすればいい。

贅沢な車は要らない、用事さえ足せれば良いというときの表現である。

まずは直訳してみる。

✖ A car is good enough if only it can move.

これで通じるかとアメリカ人に聞くと、勘の良い人なら通じるだろうという答えが返ってくる。

その理由は第一に、車が「動く」は「move」とは言わない。「drive」なのである。

そして、このdriveは、「人が運転する」という使い方と、車自体が「走る」という両方の意味がある。

日本人にとっては、「人が車を運転する」という意味合いのほうがメジャーなので、まずは次のように訳してみる。

△ A car is good enough if only you can drive it.

これでどうだと聞くと、大抵のアメリカ人は「まあ、意味は通じるけど英語の言い回しとしては何となく変だね」という答えだ。

じゃあどうしたらいいのと聞くと、driveの主語を車にしたほうが良いとの返事。そこで、つぎのように変えてみる。

〇 A car is good enough if only it drives.

うん、これならバッチリだねとのこと。さらに次のような表現でも良いとのこと。

◎ A car is good enough as long as it drives.

日本語に逆直訳すると、「車は走る限り、それで充分だ」ということになる。

これにて一件落着!

〇✖△記号の意味は英語圏では通じない。

少し横道に逸れます。

日本人が外国人に日本語を教えるとき、〇✖△記号がよく使われる。次のような感じだ。

〇 私は公園へ散歩に行った。
✖ 私は公園を散歩に行った。
△ 私が公園へ散歩に行った。

※私もこのブログで頻繁に使用している。

このとき、説明している本人は〇✖△記号は世界共通の記号であるという認識で使用しているのであるが、実はこれらの記号の意味は英語圏の人には通じていないのである。

我々日本人は小学校の頃からこれらの記号に慣れ親しんでおり、日本人であれば誰もが、〇は正解、✖は不正解、△はかろうじて正解、といったことが暗黙の了解となっている。

しかしながら、〇✖△記号の意味が通じるのは日本と韓国くらいであり、欧米諸国、とくにアメリカではまったく通じないと言っていい。

アメリカでは正解を意味する記号は「✓」であり、それ以外はとくに記号は付けない。一部の人には✖が不正解くらいは通じるかもしれないが、〇が正解という概念は全くない。

ただし、日本での生活が長いアメリカ人や日本の文化を知っているアメリカ人には通じることもある。このことを知っておかないと、お互いにとんでもない誤解を生じさせることがあるので要注意だ。

ちなみに、この理由からコンピュータのフォントも必ずしも「〇」と「✖」のフォントが同じ雰囲気でペアになっているとは限らない。iPhoneのフォントなどで確認してみるとよい。きちんとペアで構成されているのは、WindowsのMSゴシックやMS明朝くらいである。

これにて一件落着!

僕たち結婚することになりました。

意を決して、会社の上司や友人にあらためて報告するときの表現だ。

まずは直訳してみる。最初は、「~することになった」という言い回しに手こずる。そこで次のように訳してみる。

△ It was decided that we will get married.
△ It’s been decided that we will get married.
△ We’ve decided to get married.

これで良いかとアメリカ人に聞くと、「意味は通じるけど、なんだか回りくどくて、主体性のない表現だね」という反応が返ってくる。

つまり、「僕たち、結婚することが決定しました」とか「僕たち、結婚することが決定されました」といったような感じで、他人事のような響きになるわけだ。

じゃあ何て言ったらいいのとアメリカ人に聞くと、率直に次のように言えと言われる。

◯ We’re going to get married.

※発音は、We’re gonna get married.

これじゃあ単に、「僕たち結婚します」じゃないのと反論すると、英語では、これで十分に「~することになりました」というニュアンスが含まれるという。

なんだ、英語って微妙なニュアンスに悩むだけ無駄骨だね、と改めて思う。

これにて一件落着!