1万円しかない。1万円もある。

これを英語に訳せというと、日本人の10人中9人までが次のように訳す。

〇 I only have 10,000 yen.
✖ I have as much money as 10,000 yen.

そう答えるのもしかたがない、この表現は学校でもそう学ぶからである。翻訳ソフトを使用しても、同じような訳文が出てくる。

ところが、この英語は正しいかとアメリカ人に聞くと、10人中10人までが、前者はそれでいいけど、後者はなんかおかしい、意味は通じるけどそんな言い方はしないと答える。

じゃ、なんて表現するの?と聞くと、単に

〇 I have 10,000 yen.

でいいと言う。

それじゃあいくら何でも、「も」という重要なニュアンスが含まれていないだろうと言うと、金額が多いか少ないかのニュアンスは文の前後関係(Context)で判定するしかないと答える。

それでは納得がいかないから、何かいい言い方はないの?としつこく食い下がると、次の表現ではどうだと言う。

◎ I have 10,000 yen, more than enough.

直訳すると、「私は1万円持っている、これで十分すぎる」という感じだ。

受験勉強で、「as much as」を一生懸命覚えた諸君には申し訳ないが、このような日常会話では場違いな表現になるのだ。

※学校の英語の先生が落ち込むといけないから、この話はここだけにしておいてほしい。

これにて一件落着!