私と一緒に映画に行きませんか?

女性をデートに誘うときの、ひと昔前の(私が若かりし頃の)決まり文句だ。今は流行(はや)らない。

まずは直訳してみる。

✖️ Aren’t you going to the movies with me?

この文章は逆翻訳すると、「私と一緒には映画に行かないの?」、つまり、「私と一緒には、映画に行かないっていうのね?」といった感じのニュアンスで、脅しとも受け取られかねない表現になってしまう。

かりに、次のように動詞の原形に置き換えたとしても、ニュアンスはほぼ変わらない。

✖️ Don’t you go to the movies with me?

じゃあ、ということで人を物事に誘うときのお決まりの文句に変えてみる。学校英語でも習うはずだ。

△ Why don’t we go to the movies together?

あるいは、下記のような表現でもよい。

△ Why not go to the movies together?

一応これでも大丈夫なのではあるが、これらが持つニュアンスは、すでに知り合いとなっているような間柄において、「あのさ、一緒に映画に行くってのはどう?」っていうくらいの感じで、あまりにも馴れ馴れしい。

そこで、普段、アメリカン人は何と言っているのかを調べてみた。

まずは、カジュアルな表現からである。

◎ Do you want to go to the movies with me?

※発音は「Do you wanna go to the movies with me?」

直訳すると、「私と一緒に映画に行きたい?」と、まさに単刀直入に相手の意思を尋ねている表現になってしまうのであるが、実は英語ではこのニュアンスが、「私と一緒に映画に行かない?」となるのである。実に不思議ではあるが、それが事実だ。

ちなみに、丁寧に言うと次のようになる。

◎ Would you like to go to the movies with me?

日本語の直訳は、「私と一緒に映画に行きたいですか?」となるのであるが、英語のニュアンスは、「私と一緒に映画に行きませんか?」となるのである。

もともと、日本語の原文も「行きませんか?」となっており、アメリカン人からすれば、「日本人はなんで最初から否定疑問文で尋ねてくるの?はなから私が断ると決めつけているのね?」と、疑いの的となるのである(笑)。

これにて一件落着!